糖質制限のリスク
こんにちは。
今回は「糖質制限」についてです。
当ジムでも糖質制限についてはよく聞かれます。そしてすでにやったことがあるよと言う方も非常に多いです。
俗に言う糖質制限ダイエットは、体重を減らすために炭水化物の摂取を大幅に減らし、代わりにタンパク質や脂質を多く摂る食事法です。(大事なのは糖質を制限する分、タンパク質と脂質で補うと言うことです)短期間での体重減少効果があるとして人気がありますが、長期的には健康に対するリスクもあることが知られています。糖質制限ダイエットのリスクについて、科学的なエビデンスを踏まえて説明します。
1. 心血管リスクの増加
糖質制限ダイエットでは、炭水化物を減らす代わりに脂質の摂取が増えることになります。これが心血管疾患のリスクを高める可能性があります。
いくつかの研究では、糖質制限がコレステロール値の悪化や、動脈硬化を引き起こす「悪玉コレステロール(LDL)」の上昇と関連していることが示されています。特に、飽和脂肪を多く摂取する場合、心臓病のリスクが上がることが懸念されています【1】。
例えば、スウェーデンの大規模なコホート研究では、低糖質・高タンパク質の食事が心血管疾患による死亡リスクの増加と関連していることが報告されています【2】。
2. 栄養不足の可能性
糖質制限では、野菜や果物、全粒穀物などの炭水化物源が制限するので、これらの食品に含まれるビタミンやミネラル、食物繊維が不足する可能性があります。特に、食物繊維が不足すると、便秘や腸内環境の悪化、さらには大腸がんのリスクが増す可能性があります【3】。
また、ビタミンCやカリウム、マグネシウムなどのミクロ栄養素が不足すると、長期的な健康に悪影響を及ぼすことが懸念されます。特に、これらの栄養素は心血管系や免疫機能の健康維持に重要です。
3. 腎臓への負担
タンパク質の摂取量が増えることで、腎臓に負担がかかるリスクもあります。糖質制限ダイエットは通常、肉や卵、乳製品などのタンパク質が豊富な食品を多く摂取しますが、これが腎臓の機能に悪影響を及ぼすことが指摘されています。
特に、慢性腎臓病(CKD)を患っている人にとって、タンパク質の過剰摂取は腎臓の状態を悪化させるリスクが高まるため、注意が必要です。腎臓への影響を評価した研究では、動物性タンパク質の過剰摂取が腎機能の低下に寄与することが示唆されています【4】。
4. 持続可能性の問題
糖質制限ダイエットは、正直長期間続けるのが難しいです。日常的な食生活に制約が多いため、ストレスや不満を感じることがあり、リバウンドのリスクも高いです。特に、極端な糖質制限は精神的な負担が大きく、うつ病や不安症のリスクを高めることも考えられます【5】。
また、急激な体重減少がある場合、その後の体重の再増加(リバウンド)や筋肉量の減少が懸念され、健康全般に悪影響を及ぼす可能性もあります。
まとめ
糖質制限ダイエットは、短期間での体重減少には効果があるとされていますが、長期的な健康リスクを考慮する必要があります。心血管疾患や腎臓への影響、栄養不足などのリスクが指摘されており、特に長期間続ける場合は注意が必要です。持続可能な食事法やバランスの取れた栄養摂取を心がけることが、健康維持には最適です。
いかがだったでしょうか?
当ジムでは上記のことから糖質制限ダイエットは指導しておりません。
糖質制限ダイエットには安易に手を出さずにご自分に合ったダイエット方法を探していきましょう。
【1】Samaha FF, et al. "Low-Carbohydrate as Compared with a Low-Fat Diet in Severe Obesity." N Engl J Med. 2003.
【2】Lagiou P, et al. "Low carbohydrate–high protein diet and mortality in a cohort of Swedish women." BMJ. 2012.
【3】Slavin JL. "Dietary fiber and body weight." Nutrition. 2005.
【4】Friedman AN, et al. "High-protein diets: potential effects on the kidney in renal health and disease." Am J Kidney Dis. 2004.
【5】Brinkworth GD, et al. "Long-term effects of a very-low-carbohydrate weight loss diet compared with an isocaloric low-fat diet after 12 months." Am J Clin Nutr. 2009.